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社会保険加入条件(パート・アルバイトの場合)
- 週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務をおこなっている正社員など一般社員の4分の3以上
- 上記1の要件を満たしていなくても、次の「短時間労働者の要件」すべてに該当する場合
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務期間1年以上またはその見込みがある
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生以外
- 従業員501人以上の企業に勤務している
社保加入させないのは社会の恥
社会保険の加入には条件があるにせよ、まともな会社なら、条件を満たしているかぎり、社会保険の加入は当たり前の話である。ある労組の人が言っていたが、残業代などの未払いについてはよくある話だ。許せるわけではないが、まだ堪忍袋の緒が切れない。が、社会保険に加入させないというのはトンデモナイ話なのだと強調した上で、そんな会社を社会的に認めるわけにいかないと、怒っていた。
本当にそうだよ。将来、働けなくなったときや老後の生活保障がこれでは破綻するし、病気になっても病院にもいけない。要は、会社として存在する上での最低の社会的義務さえ果たそうとしない会社ということだ。それがHMIホテルグループなのである。そのくせ、自分たちだけは加入している。こういうことを平気でできる神経が、私には理解できない。自分だけよければいいんだな。
防火・防災体制への取組みのいい加減さも加えると、宿泊客に対しても「いいかげん」、従業員にたいしても「いいかげん」である。こういう会社は社会的に存在を許したらダメなのである。
契約上の合意は強行規定に優先する(らしい)
この社会保険未加入問題について団交でこれまでに何度も指摘してきた。が、会社側弁護士は頑として認めない。なぜ認めないのかというと、労働者でなく個人事業主だと言い張るのである。入社時、請負契約に本人が了承したの1点ばりなのである。うちの組合員のI氏のことである。彼はたしかに請負契約として入社していた(注1)。
が、I氏の働きぶりはいわゆる個人事業主としての特徴がまったくなく、労基法でいうところの「労働者」である。だから、労基署でそのお墨付きをもらった上で労基署の指導のもとで、本社に残業代を請求した経緯があった。本社はその支払いに応じているのである。
残業代については(しぶしぶ)支払っているくせに
残業代の請求にはこのようにして労基署に叱られて(しぶしぶ)応じているにもかかわらず、社会保険の未加入については今だに認めようとしないのだ。残業代の支払いには労働者だと認めて応じておいて、社会保険の加入については、個人事業主だと勝手な使い分けをやるのである。
こういうやりとりを何度もしており、その都度、同じ理由を持ち出している。そこで、「決定打」のつもりで、以下の本から引用して、反論したことがある。が、それにはいつまで経っても答えようとしないのである。都合の悪いことには「カエルのツラに小便」ならしい。
専門書ではどうなっているのか
健康保険・厚生年金保険(以下、社会保険とする)の「被保険者となる人」とは、「使用される人」としている。すなわち
「適用事業所に使用される人が被保険者となりますが、この「使用される人」とは、事実上その事業主のもとで使用され、労働の対償として給料や賃金をうけとっている人のことをいい、法律上の雇用契約があるかどうかは絶対的な条件にはなりません。」
要は、「事業者との事実上の使用関係」の有無がメルクマールとしている。
「社会保険のてびき」平成29年度版P20

雇用契約じゃないからというのは理由にならないだよね。あるいは請負契約だからもね。「事業者との事実上の使用関係」があったかどうかである。
次いこうか。
「健康保険における労働者もその中核は労基法でいう労働者であり」、労基法の「労働者性」の判断と「同じ基準によって判断されることになる」(P160)。
厚生年金保険についても「健康保険法の「被用者」で述べたところがあてはまる。」としてP160に言及している。(P251)
いずれも西村健一郎「社会保障法」より

そのものずばりやないか。労基法上の「労働者性」だよ。すでにI氏は労基署から「労働者」だと認定されている。上記資料だって本社にちゃんと提出済みなのである。ダメ押しとして、社会保険事務所にも確認しているんだよ。にもかかわらず、否定するか、ヘリクツを言う。厚顔無恥とはこういう場合にこそ使うべきだろう。
ああ、言いそびれた。私も6年間、何度も要求したのに(法律で決まっているから要求のある・なしは関係ないが)、社会保険に加入させてくれんかった。私とI氏が社保未加入だったことの「自認書」を要求しているのだが、これも提出しない(私については社保未加入だったことを認めている)。いずれこのことも別記事で取り上げる。その対策も。