解雇無効の主張と失業保険手続

解雇を争うとき、失業保険の手続はすべきか

会社から解雇された。解雇されるとこれからの収入の目途がないため、失業手当を受け取りたいとおもう。そう思って自然だ。が、解雇を争おうとしているなら、失業保険の手続にはいるのはどうなんだろう。だって、解雇を争う、すなわち被解雇者はその解雇が不当だとして無効を主張するわけだから、失業手当もらちゃうと、「失業」したことが前提なので、それは矛盾していないかということになるかもしれない。

たとえば退職金を受け取ったりするなどがもっと明確にそうである。それは拒否したほうがいいのでないかとなる。では、失業手当をうけとることはどうなんだろう。今回は、そういう場面に出くわした場合にどう行動したらいいのかである。

加賀市山代温泉「ホテル大のや」の事例

表題に入る前に、時系列で説明する。

2020年6月1日、「ホテル大のや」の統括支配人M氏から全員へ解雇通告。

6月3日、HMIホテルグループN取締役が個別面談し、(解雇なのに)退職勧奨の合意書にハンコを迫る。ぼくはハンコ押さんかった。

以下は、当時のツイートの記述に説明の便宜のため若干加筆した。

6月6日。解雇に同意してない人に対してもハローワークの失業説明会参加の通知をしてきた。参加(見学)するだけならともかく、失業手当手続までしたら、これ、退職勧奨の「追認」になるのかもしれない。おいそれと参加もできないぞ。気を付けんとね。どなたかわかる人おらんかなあ。

7月1日。ハンコ押した人、全員退職(残務整理のある人は別)。

7月10日。「解雇の承諾の意思は、明示の表示がなくても、解雇予告手当や退職金の受け取りなどによって黙示的に表示されることがある」(西谷敏「労働法第三版」P478)。解雇を争っている人は、こんな黙示の追認みたいなのがあるから、気を付けようね。

7月12日。じゃ、職安で雇用保険による失業手当をうけとった場合は?黙示の追認になるのか。これについては先の二つの例(解雇予告手当と退職金のこと)はいずれも会社と労働者との直接の関係であり、職安の手続は労働者と職安間のものなのでそこは同じではない。が、裁判になったときは不利な事実として取り上げられる可能性があるので、手続上その旨留保しておくべきと、弁護士の弁。

7月13日。ハンコ押してないぼくには関係ないが、本日は最初の職安認定(?)日。ハンコ押した人が職安に集結するが、ある人から、そんな人のことよりも自分のことに専念したらの忠告。ハンコ押したのを覆そうなどと思っているから会社が徹底抗戦に出る。ハンコ押してない貴方に何か関係あるのか。たしかに。居留守使われたりするし、だれのためにやってんだと思ったりする。よけいなおせっかいかもね。

9月18日。先日の団交で会社側弁護士より追及されたのがこれ。悪い予感が的中した。それにしても失職した人は生活の糧を失うことだから、失業手当の手続をとるのがごく自然なことで、それをもって「退職勧奨の同意」に「黙示の追認」をしたわけでもないよ。

解雇を争いながら失業給付を受ける場合

以上がかんたんな経緯。会社側弁護士の言わんとすることは、職安で失業手当の手続したということは、退職の意思があったからこそ「した」のであって、これは「黙示の追認」にあたるという主張らしい。こういう主張を封ずるにはどうすればいいのか。ちょっと長くなるが引用する。

解雇を争いながら失業給付を受ける場合には、便宜上の手続である「仮給付」として受けるべきである。この場合、休職の申込をしなくても基本手当を受けることができる。

仮給付を受けるにあたっては、解雇を争って係争中であることを示す文書(訴状のコピー等)を提出する。訴訟外で交渉中の場合には、仮給付の手続を利用することはできない。

復職を求めずに損害賠償だけを請求する場合は仮給付の手続はせず、通常の受給をすることになる。通常の受給手続の後に仮給付に切り替えることもできる。

「2018年労働事件ハンドブック」P378-

解雇無効を主張するなら「仮給付」

この記載から判断するなら、解雇無効を主張し職場復帰を目指すなら「仮給付」(ただし、裁判に訴えるなど要件は厳しい)、そうでなく、退職による解決金を目指すなら、通常の手続をしてもよいということになる。そうなるよね。

それにしても、本社のやることなすことは、ぼくの予想を外したことがない(苦笑)。相手がどういう手に打ってくるのか、相手の術中にはまらないようにしないとね。それができて初めて勝利をつかみとることができるとおもう。あの「後出しメール」にみんなかんたんに騙されていたが、これでは勝負にならない。強敵だよ、勝負はこれからだ。

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