HMIホテルグループはAさんを個人事業主だとし、労基法上の労働者性を認めない

以下は本年2月に本社あてに説明した内容である。本社は、Aさんの雇い入れ時に個人事業主として契約した。Aさんもそれに納得して入社されたと言い張る。そして、個人事業主ゆえに、社保加入の資格もないのだという。だから、以下のように反論したしだいである。

「労働者性」を判断する際は、当事者の主観・形式的事情ではなく、客観的な事実や実質的事情に基づき判断すべき(東京高裁h14.7.11)。強行法規的な労働基準法の解釈が、当事者の意思や形式の操作により潜脱されかねないからである。「要件事実マニュアル4」P558 。

「健康保険法における労働者(被用者)もその中核は労基法でいう労働者であり」(P160)、厚生年金保険の「「被用者」の概念については、健康保険法の「被用者」で述べたところがあてはまる」(P251)「社会保障法」(西村健一郎)。

ちなみにだが、Aさんは労基署の調査により、労基法上の「労働者性」の認定を受けている。その結果、残業代について本社も支払いに応じていた。

HMIホテル側の言い分について

労基署の判断と民事の判断は別なのだというのがHMIホテル側の言い分である。リクツとしてはこういう反論もありえないわけではない。行政の判断が常に正しいわけではないだろう。が、実際に、裁判で、行政の判断が否定され、それとは別の判断がされるというのは非常に少ない。残業代請求の関係に関連して、労基署は「労働者」だと認定したのは入社後の「一時期」だから入社時は不明という言い分もありえるだろう。

が、対象者は入社以来仕事の内容や指揮命令に変更があったわけではない。入社後の「一時期」について労基署が労働者だと判断している以上、さらにさかのぼって入社時についても「労働者」だと捉えるのが自然な解釈だと私はおもう。

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