ブラック企業が相手なら、採用面接時から闘いが始まっている。録音必須だよ。

「労働協約、就業規則、労使慣行で定められた権利・義務は労働契約の内容になることによって労働条件を決定する(化体説)と解すべきであるから、労使の権利・義務は、結局、法律が創造するものの他は、労働契約に法的根拠をもつことになる」(西谷敏「労働法」P203)。

ということになるのだが、肝心の労働契約書をブラック企業は渡そうとしない。この場合どうなるのかだ。請求し、素直に渡してくれればいいけれど、渡すと会社に都合が悪いのか、渡さない可能性も考えられる。そこがブラック企業たるゆえんである。

勘違いされている方がいるが、労働契約は書面を必須のものとしておらず口頭でも成立する。それをいいことに、雇用契約書の書面に署名・捺印したにもかかわらず、そんな書面はそもそも交わしていないと、言ってくる可能性があるかもしれない。ぼくの予想、けっこう当たるんやな。

書面により明示すべき労働条件違反がある場合、使用者に罰則の適用があるだけだ。書面の提出がないからこちらに有利に作用するわけではない。すなわち

「労基法に違反して、労働契約書や労働条件説明書が作成されていないことにより、直ちに労働者側の言い分どおりの内容の労働契約の締結が推定されるということはない。前記書面により明示すべき労働条件について、労働条件説明書や就業規則の交付がされていない等、労働条件の明示義務に違反する場合には、使用者には罰則の適用があり(労基120条1号)、労働者には即時解除権が発生するが(労基15条2項)、どのような内容の労働契約が締結されたかは事実認定の問題」(「類型別労働関係訴訟の実務」P18 -)

「事実認定」の問題について

民事訴訟においては、裁判所は、当事者の弁論にもとづいて、当事者が主張する事実の存否をあきらかにし、こうして確定された当事者間の事実関係を基礎として、実体法を尺度に、原告の権利主張の法的当否を判決で判断することになる。その事実を確定する過程が「事実の認定」であり、実体法をあてはめて判断する過程が「法律の適用」である…

裁判官が当事者間における「事実」を認定するにあたっては、かならず「証拠」にもとづいて行うことが必要とされている。これを―—証拠にもとづいて事実を認定して裁判をするという意味で――「証拠裁判主義」という。…そこで、当事者としては、自分が主張した「事実」を裁判官に認めてもらうためには、その事実が確かに存在したということを「証拠」であきらかにしていかなければならない。(林屋礼二「新民事訴訟法概要」P297-)

である。要は、こちらが主張したい「事実」については「証拠」による裏付けが必要である。会社との闘いは採用面接時から始まっており、証拠としての録音を必ず録るべし。

こういう場合は録音を必ずとるのは当たり前だし、それがわかっていない人が多すぎる。前職が保険調査であり、裁判の際の勝てる証拠収集がその仕事だったので、ICレコーダーは調査のための七つ道具のひとつ、すなわち必携品であった。労組関係者の中にも録音なんかたいした証拠にならないと発言していたのがいた。ただあきれるしかなかった。これでは最初から勝負にならないよ。

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