労働局あっせん、労働審判、裁判上の和解における解決金の相場

解雇など会社都合による退職の場合のいわゆる解決金の相場はどれくらいなのでしょうか。これくらいだろうとかいう「思い」だけが先行しやすいため答える人によって相場がまちまちです。この件については資料をつかって客観化することが大事です。ここは場合分けして考えます。

参考資料として濱口桂一郎著「日本の雇用紛争」をつかいました。解雇・退職に関する観念的・抽象的な俗論を排して、冷静で合理的な議論を促す非常に有益な文献です。

https://books.rakuten.co.jp/rb/13769427/

【労働局あっせんの場合】

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「平均値は27万9681円だが、これは高額解決金に引っ張られているためで、中央値は15万6400円であり、半分近くは15万円以下で解決しているのが実態である」(P79)。あっせんなんかやるものではないことがよくわかります。労働局は会社の味方なのかよと思ってしまう。

【労働審判の場合】

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「平均値は2297119円、中央値は1100000円であり、半分以上が100万円以上で解決している(P80)。

【裁判上の和解】

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「平均値は450万7660円、中央値は230万1357円…総じて労働審判における解決金の2倍ほどの額で解決している」(P80)。

これはバラツキがすごい。正社員もいればアルバイトもいるし、給与自体も個々で違うということもあるが、案外抜けているのが弁護士の「質」です(裁判では弁護士をつけているのがふつうだから)。

弁護士選びで解決金の額も違ってくる

労働分野についてはよく知りませんが、交通事故分野ではおれは交通事故に強いと豪語している弁護士がたくさんいます。が、その弁護士が解決した例をみると、その結果が「あれれ」というのが少なくありません。この分野に強いというのは口先だけで実際はたいして実力がない弁護士ですね。それは交通事故にかぎらず、労働分野にだってたくさんいるはずです。

ネットで検索すると、解決金6か月で自慢している弁護士がいますが、伊東良徳弁護士によれば、解決金1年未満、たとえば6か月というのはいわゆる「負け筋」の事件で、裁判所が和解案として提示するものだということです。「勝ち筋」なら1年以上獲得できて当たり前、平均は2年だとさえ言い切っています。弁護士選びでうまくいくかそうでないかが、バラツキとして現れているのではないかと疑ってみることも必要かとおもいます。

【追記】

相場について追記します。

争い方としては、退職は認めるが解決金を支払えと、不当解雇だから解決金を支払えのふたつがあります。が、相場が違います。私が「弁護士選び」で書いたのは後者の場合です。前者での解決の場合は、解決金額は低くなります。すなわち、復職を請求せず損害賠償を請求した場合は、解決金水準は地位確認請求をした事件と比べて相当低くなります。

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