先日、組合の脱退の是非を組合員全員に問うてみた

先日、組合会議を開いた。議題は「脱退」である。こんなことをクソまじめに議題にする労組など日本に存在するのだろうか。うちの組合方針は「入る者を拒まず、出る者はご自由に」だ。

労働組合の脱退は組合員の自由である。規約上は組合の承諾がいるとかなんとか書いてあるが、あれは無効である。嘘っぱちなのである(よくて、紳士協定だろ)。最高裁の判例があるからというよりも、個人の思想・信条や行動を労働組合ごときが規制できないという、ごくごく当たり前の話なのである。脱退届は必要なのではという質問があったが、脱退は要式行為ではない。だから、必要ない。ただ、脱退は労組にとって重大問題だから、脱退しないよう説得されるのがふつうである。うちはそれすらしない。

脱退を議題にしたのにはわけがある。組合員の1人から脱退の申出があったからである。この機会に、申し出た1人だけでなく、この議題で参加した組合員全員に各自の脱退の意思の有無を問うてみたのだ。私は私以外の全員が脱退するのではないかと予想していた。仮にそうだったとしても慰留するつもりは全然なかった。これは当組合に対する組合員たちの「評価」なのだから。辞めたい人はご自由に。1人労働組合でもしゃあないと。

結果は、その1人だけが脱退すると宣言した。止めなかった。自由なのだから。意外だったのは他の全員が、「まだいたい」だった。そしたら、脱退すると言い出した当の組合員も撤回した。撤回しなくてもいいのにとおもった。ぼくの負担も減るし、これ以上責任持てる自信がないしで、必ずしもわるいことばかりではないと思ってもいたからだ。だいたいがこの人、ふだんからただ乗りばかり考えているので、せっかくだから、撤回などせずにこの機会に辞められたらどうですかとも言ってあげた。しかし、撤回の撤回をしてくれなかった。

まあいいや、とりあえず当労働組合は存続することになった。ただ、労組としての存在が問われるのだよなあ。存在することの意味が。私が労働組合の存在意義として考えることは以下のツイートのとおりだ。

年に一度、労組が組合員の信任を確認する機会をもつことはたいへんいいことだとおもった。組合があることの意味について、初心忘れずというか、やはり年に一回くらい確認すべきことだ。組合内に自由の雰囲気がないとできないけれどね。

蛇足。組合の2重加盟は問題か。法律上の制限がないため、問題ではない。会社が組合員が二つの労組に加入していることを理由に団交拒否できるかについても、それはできない。不当労働行為だからである。本件の場合、団交申入れは片方の組合からだけであり、二重交渉による調整の必要性等の問題は生じ得ない。(中ノ郷信用組合不当労働行為再審査事件)

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/dl/shiryou-25-0809-1.pdf

蛇足その2 組合と上部団体との関係

労働組合側で団交の権限を有する担当者は、労働組合の代表者または労働組合の委任を受けたものとされている(労組法6条)。労働組合の委任を受けることができる者の範囲は、法律上特段の制限はないため、上部団体などの他の組合役員や組合員、弁護士などいかなる者でもよいとされている。

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